GUIDE 03 / PRIVACY

AI音声通訳とプライバシー

「録音しない」だけでは十分ではありません。何が送られ、誰が聞き、どこまで記録されるのかを、参加者が理解できる形にします。

音声通訳では、話された内容を処理しなければ翻訳できません。そのため、利用者は「音声が端末の外へ送信されるか」「サービス側で保存されるか」「運営者が後から確認できるか」を知る必要があります。技術的な説明を長く並べるより、参加者が判断に必要な事実を短く伝えることが大切です。

処理と保存は別のこと

音声をインターネット経由でAIへ送り、その場で処理することと、録音ファイルとして後から残すことは別です。保存しない設計でも、翻訳を行う瞬間には音声データが通信されます。「録音していないから何も外へ出ない」と説明すると誤解を招きます。

Live Interpreterでは、音声、翻訳音声、翻訳本文をサービスの会話履歴として原則保存しません。一方、クレジット計算や運用のため、利用時間、選択した言語、処理状態などの情報は記録します。利用するサービスごとに方針は異なるため、導入時に確認してください。

参加者へ伝える4つの事実

  1. AIによる通訳を使用すること
  2. 音声が処理のため外部サービスへ送信されること
  3. 録音・文字起こしを保存するかどうか
  4. 利用を望まない場合の代替手段

代替手段には、通訳を停止する、対象部分を配布資料で渡す、個別説明を行う、発言者の音声を入力しないなどがあります。「同意しないなら参加できない」という状態を避けられるか検討します。

案内文の例

「この時間は内容を多言語で届けるため、AI音声通訳を使用します。発言音声は通訳処理のためオンラインで送信されますが、主催者は録音・文字起こしを保存しません。個人情報を含む発言はお控えください。利用について不安がある場合はスタッフへお知らせください。」

取り扱いに注意する情報

これらを含む個別相談では、公開イベントと同じ設定をそのまま使わず、組織の規程、サービスの契約条件、対象者の同意を確認します。必要ならAI通訳を使わず、守秘義務を負う専門通訳者へ依頼します。

会場で起こるプライバシー問題

技術面だけでなく、翻訳音声をスピーカーから流すことで周囲へ内容が聞こえる、字幕を大画面へ表示して個人名が見える、参加者が画面を撮影する、といった問題があります。イヤホン利用、字幕表示範囲、撮影ルール、個別相談の場所を事前に決めます。

オンライン会議では、参加者が自宅や共有スペースから接続する場合があります。イヤホンの使用、背景の会話、画面共有中の通知にも注意が必要です。

保存する情報を最小限にする

運用改善のために、すべての会話内容を残す必要はありません。利用日時、言語、接続状況、参加者からの評価など、目的に必要な項目だけを記録できます。保存目的、保存期間、アクセスできる人を決め、不要になった情報を削除します。

トラブル時の連絡先

誤って個人情報を話した、字幕が第三者に見えた、アカウントが不正利用されたなどの事態に備え、問い合わせ先を参加者へ案内します。主催者とサービス提供者のどちらへ連絡するのかを分けておくと対応が早くなります。

安心は一度の同意で完成しない

参加者、会場、話題が変われば必要な配慮も変わります。毎回長い同意書を作ることではなく、利用目的に照らして説明と代替手段を見直すことが重要です。透明性は、AIを使うための障害ではなく、安心して利用を続けるための基盤です。